放送機器を収納している局舎や鉄塔、さらに敷地状況は出向しないとわかりません。今回、屋内外にカメラ、屋内に温湿度計及び漏水センサーを設置することにより送信所の状況把握を可能とするシステムを構築しましたので報告します。
近年、災害が多発し放送機器はもとより局舎、鉄塔及び敷地の現況確認の必要性が増しています。しかし、放送機器と異なり、局舎、鉄塔、敷地の把握は緊急時以外はリアルタイムでの監視の必要性は低いと思われます。そこで、通常時は最低限のデータ送付を行うことによりコストを低減したシステムを構築しました。
既存の機器、技術を利用し必要性に応じたデータ通信を行うシステム構築を行い、局舎、鉄塔、敷地の現況把握をコストミニマムで実現しました。具体的には以下となります。
・屋外カメラ:屋内より通線を行うと落雷障害及び放送事故の危険性もあるため、電源は太陽光パネルで蓄電したバッテリーを利用し、wifiで屋内に情報を送るシステムとしています。なお、データは静止画とし、一日二回程度の送信を想定しています。
・屋内カメラ:一般的な安価ではあるが、十分な画像取得のできるネットカメラを使用しコストを低減しています。屋内外カメラともに必要に応じて画像を取得することも可能としています。
・屋内に温湿度計を設置し、データをクラウドに蓄積します。閾値を超えたデータについては指定アドレスにメールにて連絡します。
・屋内に線状の漏水センサーを設置し、漏水感知の場合は指定アドレスにメールで連絡します。
本システムは某FM送信所に実装しています。今回の展示においてリアルタイムで画像やデータをお示しします。今回のシステムは送信所一か所について毎月の料金は1万円以内を想定しています。是非、送信所の信頼性向上のツールとしてご活用ください。
今回のシステムを切り口として、是非今一度皆様の送信所の将来を考えていただきたい。
建物、特に鉄筋コンクリート造の建物は建設当初の性能が良ければ保全計画・工事が万全であれば100年は持つものです。以前はアルカリ性のコンクリートが表面から空気中の二酸化炭素において中性化していき、内部の鉄筋に達したら寿命が尽きると考えられていました。しかし、最新の知見においてはメンテナンスがしっかりしていると鉄筋廻りが中性になっても腐食が進行しないことがわかっています。是非、我々NTに局舎・鉄塔の維持をお任せください。「局舎・鉄塔も寿命100年時代」をむかえましょう。